退職代行とは、労働者本人に代わって弁護士や代行業者が会社に退職の意思を伝えるサービスですが、近年、退職代行サービスが注目を集めています。
退職を決意したものの退職の意思を伝えるのが怖い、伝えたのに辞めさせてもらえない、などで困っている人たちが利用しているからです。
この記事では、退職代行サービスの費用やメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。退職代行サービスの活用によって、もうガマンするのはやめて、スムーズな退職を実現しましょう。
退職代行サービスの費用
まず、退職代行サービスの費用について考えてみましょう。
費用は業者やサービス内容によって異なりますが、一般的には労働組合運営か弁護士運営かで料金が変わってきます。ちなみに民間企業が運営している業者で、労働組合や弁護士と提携していない所は避けるようにしましょう。近年トラブルが多発しています。
「労働組合」運営の退職代行サービス
労働組合運営だと、料金は弁護士に比べて安いのがほとんど。正社員向けとアルバイト・パート向けでは料金が違う場合が多く、アルバイト・パートの場合はかなり料金は安く済みます。
また、退職代行に関連するいくつかの必要作業も含まれた全部込みの料金設定にしているところが多く、追加費用がないので安心して依頼できます。
「弁護士」運営の退職代行サービス
一方、弁護士運営でも料金設定をある程度一律にしている所が多く、できるだけ追加費用が無いようにしています。
未払いの給料や残業代の請求をする場合には回収金額のいくらかが差し引かれるといった、金銭の請求などの交渉には別途費用がかかるなどの料金体系になっています。
無料相談をする所が増えてきましたが、弁護士事務所によっては初回相談料がかかる所もあるので確認するようにしましょう。
他には、書類作成代行の有無や、退職後のアフターフォローの有無など、事務所ごとに異なる料金体系を採用していますので、具体的な料金については、事前に打ち合わせや見積もりを行うようにしたほうがいいでしょう。
労働組合運営と弁護士運営の退職代行サービス料金まとめ
労働組合 | 弁護士 | |
正社員向け料金 | 25,000円~30,000円 | 5万円前後 |
アルバイト向け料金 | 12,000円~18,000円 | 5万円前後 |
退職代行サービスのメリット
次に、退職代行サービスのメリットについて考えてみましょう。主なメリットとしては、以下の点が挙げられます。
1.退職トラブルを回避できる
退職を会社に伝えると、怒鳴られたり嫌がらせをされたりする可能性があって、怖くて言えない人たちが少なくありません。
中には退職の意志を伝えたにも関わらず、引き止められたり、はぐらかされたり、相手にしてもらえなかったりする人もいます。
しかし退職代行サービスに依頼することでこれらの退職トラブルを回避しつつ、すんなり辞められることが多いです。イヤな思いをすることなく退職できるので需要が高まっています。
2.専門知識と経験の活用
退職代行業者は退職に関する豊富な知識と経験を持っていますので、適切かつ迅速に手続きを進めることができます。
本人の意思としての退職の意向を伝え、本人への連絡はしないよう要請し、退職関連の書類の準備と送付の依頼までしてくれます。
特に、退職代行を使わざるを得ない事情というのを熟知しているので、とても心強いです。
3.時間と労力の節約
退職代行サービスに依頼すると、専門知識を持ったスタッフまたは弁護士が経験をフル活用して退職に導いてくれます。退職トラブルを回避するだけでどれだけの時間と労力の節約になるでしょうか。
通常、退職手続きは多くの書類や手続きが必要となりますし、上司や人事との交渉や、人によっては金銭面での面倒な交渉もあるかもしれません。退職代行サービスを利用することで専門の担当者がこれらの手続きを代行してくれます。
これにより、手間やストレスを最小限に抑えるだけでなく、スムーズな退職手続きを実現することができます。その分、本来やりたいことに集中することができます。
退職代行サービスは、退職にかかる時間と労力を節約し、安心して退職するための有効な手段です。
4.退職後のサポートを受けられる
退職後には、健康保険や年金などの社会保険の手続きや、雇用保険の申請、税金の手続きなどが必要になることがあります。これらの手続きは個人で行う場合、手間や時間がかかる上に、手続き方法や必要な書類に関する知識が必要です。
退職代行サービスを利用すると、専門の担当者が退職後の手続きをサポートしてくれます。彼らは社会保険や税金などの制度に詳しく、必要な手続きや書類の準備を代行してくれます。これにより、正確かつスムーズに手続きを進めることができます。
さらに、退職後のキャリアや再就職に関する相談や支援も受けられることがあります。退職代行サービスは、キャリアコンサルティングや転職支援などのサービスを提供する場合もあります。退職後の新たなステップに向けたアドバイスや情報を提供してくれることで、再就職活動やキャリアの選択に役立つことが期待できます。
退職後の手続きやキャリアに関するサポートを受けることで、円滑な移行を図ることができます。自身で手続きや再就職活動を行う場合に比べて、より安心して退職後のステップを進めることができるでしょう。
退職代行サービスのデメリット
一方、退職代行サービスには考慮すべきデメリットも存在します。以下にいくつかのデメリットを挙げてみましょう。
1.費用の負担
退職代行サービスを利用する場合、そのサービスに対して料金を支払う必要があります。料金はサービス内容や提供業者によって異なりますが、一般的には一般的には2万円~5万円程度です。
自身で手続きを行う場合に比べると、退職代行サービスを利用することによって追加の費用が発生する可能性があります。これは、一部の人にとっては負担となるかもしれません。
また、退職代行サービスの料金は個々のサービスによって異なるため、比較検討が必要です。いくつかのサービスを比較して、自身のニーズや予算に合った適切な代行サービスを選ぶことが重要です。
ただし、費用を支払うことで得られる利点や手間の軽減を考慮する必要があります。退職手続きやその後の手続きに関する専門知識や経験を持つ担当者が代行してくれることで、スムーズかつ正確な手続きが行われることが期待できます。
つまり、退職代行サービスの費用は、その提供される利便性や効率性と比較して判断する必要があります。自身の状況やニーズに合わせて、費用と利益のバランスを考慮することが重要です。
2.個人情報の提供
退職代行サービスのデメリットの2つ目は、「個人情報の提供」です。退職代行サービスに依頼すると、退職の意思を伝える手紙や退職届、会社で使用していた連絡先や住所などの個人情報を提供する必要があります。
退職代行サービスは、個人情報を守るために厳格なセキュリティ対策を講じている業者が多いですが、それでも個人情報が漏洩するリスクはゼロではありません。退職代行サービスの利用を検討している場合は、個人情報の提供について十分に検討しておきましょう。
これを回避するためには、信頼性の高い退職代行サービスを選ぶことが重要です。信頼性のあるサービス提供業者は、個人情報のセキュリティ対策やプライバシーポリシーについて厳格な基準を遵守しています。事前に業者の評判やレビューを確認し、適切なセキュリティ対策を講じているかどうかを確認しましょう。
また、退職代行サービスには契約書や同意書にサインすることが必要な場合もあります。この際には、提供される契約書や同意書をよく読み、個人情報の取り扱いについて明示されているかを必ず確認しておきましょう。
個人情報の提供に関して慎重になることは重要ですが、信頼性の高いサービスを選択し、個人情報の保護に関する適切な対策を講じることで、リスクを最小限に抑えることができます。
3.悪質な業者がいる
退職代行サービス市場には、信頼性の低い業者や悪質な業者が存在する可能性があります。
退職代行サービスは、近年注目を集めている新しいサービスですが、その一方で悪質な業者も存在しています。高額な費用を請求したり、退職の意思を伝えるだけで終わり後は何もしなかったり、個人情報を悪用したりするなどのトラブルを起こしています。
退職代行サービスの利用を検討している場合は、信頼性の高い業者を選ぶことが重要です。以下のポイントを考慮して、適切な業者を選択しましょう。
- 口コミや評判を確認する
- 公式ウェブサイトをよく読む
- 連絡先や対応方法の確認
- 不明な点は必ず業者に確認する
- 費用は総額を事前に確認する
- 契約書を交わす際には、内容をよく確認する
- 個人情報の提供には十分に注意する
退職代行サービスは、退職に伴う手続きや交渉を代行してくれる便利なサービスですが、悪質な業者に騙されないよう、十分に注意する必要があります。慎重に業者を選ぶことで悪質な業者とのトラブルを回避することができるので、よく比較して賢く選択していきましょう。
まとめ
以上が退職代行サービスの一般的な費用やメリット・デメリットについての解説でした。
退職代行サービスを利用するかどうかは、個人のニーズや状況によって異なりますので、慎重に判断することが大切です。自身の退職プロセスを円滑に進めるために、情報を収集し、適切な選択を行いましょう。